毒親育ち⑪

マイライフ

高校を卒業した春休みの事です。4月から新しい環境になるので、私はドキドキ・ワクワクしていました。受験の為バイトもしていなかったので、お金も底をつきそうな時でした。4月からはバイトも始めて、6.7万位稼げたら好きに過ごせるかな~!なんて考えていました。

高校の時も普通に月に数万は稼いでいて、でもお昼ご飯代や必要な物を買う時のお金は置いとかなければいけないので、好きな物を好きな時に買える状況ではありませんでした。また受験の時はバイトができないので数万円残しておいたのです。ちなみにですが、うちの高校はバイト禁止のまじめな高校だったので、2駅先の所まで自転車で通っていました。先生達は生徒がバイトをしていないかパトロールをしていましたし、バイトがバレると辞めさせられます。なので本当にコソコソとしなければいけなかったのです。

周りはバイトをしている子もいましたが、していない子の方が多かったのではと思います。それなのに、お小遣いはなし、学食のお金は貰えない、お弁当も作ってもらえないのはとても辛かったです。ですが母からみたら私たちは甘えているように見えたみたいです。

一度母の友達の子供が高校卒業と同時に免許を取る為、自分でバイトをしたお金で教習所に通う事を聞いたらしく、「自分のバイト代で通うらしいで~うちの子ときたら・・・」みたいな事を言われました。なので皆はもっと頑張ってるのかな?その頃は本気でそう思ってしまいました。

そんな中、さらに悲惨な出来事が起きたのです。

春休み中のある日、家の電話が鳴ったので「もしもし」と出ると、「もしもし?お父さんはいる?」この相手の声だけで、相手が普通の人ではないと感じました。私は「今はいません」と答えると、「じゃあお母さんいる?」と聞かれたので、母に代わりました。

母はほとんど「はい」としか答えていませんでした。そして、電話が終わって誰だったか尋ねると、あぶない所にお金を借りているみたいだと教えてくれました。母はすぐ父に電話しました。全く知りませんでしたが、仲間内で始めた会社が軌道に乗り始めた矢先、経理担当をしていた人が数億というお金を持ち逃げし、姿を消したのです。父達は会社を何とかする為に動き回っていたようです。そして最後にそういう所からお金を借りたらしいのです。

その電話で、「家族に迷惑がかかるので離婚してくれ」と母に伝えたみたいです。

その日私は友達と近所にあるカフェに行く約束をしていたので、どうしようと考えていたら母が「行ってきたら?」と言うので、少しだけ出かける事にしました。

数時間後の18時頃だったと思います、私は家に帰りました。先に姉が帰ってきていました。そして母はいませんでした。

姉は私に「とりあえず2.3日の服や下着と大切な物用意して!おじいちゃんちに行くから」と言いました。

姉はもう自分の荷物は用意していて、当時飼っていた猫ちゃんと猫ちゃんの餌やトイレの砂、トイレは大きい袋に入れて丸ごと持って行く準備をしてくれていました。

私は言われるがまま用意して、二人で祖父の家に向かいました。祖父の家は車で40分~50分の所だったと思います。家から10分位で大きい道路に出るので、そこまで歩いていきタクシーを拾いました。

高校卒業ホヤホヤの18歳と大学生の20歳だったのですが、タクシーも乗りなれていないのに猫ちゃんと沢山の荷物を持ち私たちだけで祖父母の家に向かいました。

祖父母の家に着き、祖父母は状況を既に知っていたので、出迎えてくれました。

母はと言うと、携帯に電話をしても全然出ないのです。祖父が何度も電話をかけてようやく出た時に、「こんな状況で子供らも不安な時にどこに出かけてるんや、はよ帰ってこい!」と怒ったので、母はしぶしぶ帰ってきたのです。確か、私たちが祖父の家に行った次の日の夜だったと思います。

本当に最悪な母親で呆れ果てます。

母はその時今の結婚相手の人含めた友人たちといたみたいで、電話があったその日の夜に家を見に行ったみたいです。そしたら、玄関には〈〇〇金返せ!〉と貼られていたみたいです。そして荷物を取りに家に入ると、faxからすごい量の紙が出ていて、〈金を返せ・金を返せ〉と書かれていたみたいです。

私はこの話を聞いて、あの日の夕方に家を出ていて本当によかったと心から思いました。当時はそんなに警戒心も強くなかったので、インターフォンが鳴っていたら普通に出ていたと思います。しかも母はいない状況で私たち姉妹で対応していたら・・・そう考えるととてつもなく恐ろしくなりました。

この事があり、私はインターフォンに出る事が苦手になり、インターフォンを出る前に鍵穴から覗くクセがつきました。

あの状態ででかける事ができる母親の神経は異常ですし、本気で理解できません。今でも腹立たしいです。そもそもうちの母親は、小学校の時ですら習い事で夜が遅くてもお迎えに来てくれる事はありませんでしたが。そういう人はどんな神経をしているのでしょうか?

近所にも小学校低学年の女の子が習い事で夜遅く(19時前なので辺りは既に暗いです)帰ってくるのをみますが、よその子ながらとても心配になります。

また、13年ほど住んでいた住み慣れた家を見たのは、あの日のあの時が最後となりました。5歳頃から18歳の初めまでを過ごした思い入れのある家にもう戻る事はできません。とっても悲しいです。(きっと近所に住んでいる友達には、夜逃げをしたと思われているでしょう。ちなみに敷金?があったので、家賃を踏み倒してもいませんし、家のなかの家財道具も全て出す事ができたので、夜逃げではありませんが。)

私は地元と言われる場所・実家を失いました。

母は今現在祖父母が残してくれた家に住んでいますが、私からすればおじいちゃんおばあちゃんの家と言う感覚ですし、また母は再婚をしていますので気軽に帰れる所ではありません。

そもそも両親共に毒親なので、親子と言う感覚はほぼなくなってきています。住み慣れた家がなくても、親子の絆なんてものがあればまだよかったのですが、それすらない為、アラフォーの今でもとてつもない寂しさに襲われる時があります。この気持ちはいつか晴れる時がくるのでしょうか。

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